腕時計に興味を持ち始めた人が、「ラグスポ」にも興味を持つことは現代社会では自然な流れです。しかし、ビギナーがいきなりラグスポを目指すより、まずダイバーズウォッチから始めた方が、今後の腕時計ライフを10倍楽しめると思います。その理由をGoroが解説します。

ラグスポとは?

https://www.patek.com/en/collection/nautilus

ラグスポは正確には「ラグジュアリー・スポーツ」の略で、ラグジュアリー装いを持つ、スポーティーな(スポーツウォッチでは決して無い)腕時計です。

ラグスポの起源は共に1970年代に名門老舗ブランド、オーデマ・ピゲとパテック・フィリップからそれぞれ発表された「ロイヤルオーク」と「ノーチラス」からと言われます。このアイコニックなマスターピースは偶然にも鬼才、ジェラルド・ジェンタのデザインでした。

明確な定義や工業規格はありませんが、「ステンレス製もしくはチタン製」のケースとブレスレットを持ち、ラグとケースが一体化していればより良く、外観がスポーティーであることが「ラグスポの基準」と言えます。

老舗名門2社から1970年代に発表された「ラグスポ」は当初「異端児扱い」されてきました。本格的に各社がラグスポへ参戦し始めたのは、21世紀に入ってからです。人気が加速度したのはジュエリー(一部兼業)ブランドのショパールブルガリ、そしてシャネルが参入してからになります。その後、専業ブランドと合わせ、ラグスポの群雄割拠時代へ突入します。

ラグスポより実用性が高いダイバースウォッチ!

https://www.rolex.com/ja/watches/submariner.html

生産される数以上に需要(人気)が高く、年を追うごとに腕時計ビギナーがラグスポを購入するハードルは上がっている印象があります。そのため僕はダイバーズウォッチこそ、ビギナーにとって現在「最も狙い目の時計」と考えます。

理由はダイバーズウォッチはラグスポより耐久性が高く、より実用的です。潜水作業を前提に設計しているため、傷がつきにくい素材を多く使用しています。例を挙げると海底で時計を多少擦っても耐えられる「セラミックベゼル」の使用はもはや業界標準です。

生産される数以上に需要(人気)が高く、年を追うごとに腕時計ビギナーがラグスポを購入するハードルは上がっている印象があります。そのため僕はダイバーズウォッチこそ、ビギナーにとって現在「最も狙い目の時計」と考えます。

操作への配慮も基本設計に加味しており、例えばウェットスーツの上からでも無理なく装着できる「エクステンション」やブレスレットの「セーフティ・ロック機能」がほとんどのモデルで標準化されています。

それと何と言っても水を気にしないで、普段使いできる事がダイバーズウォッチの最大の魅力です。日常で水を使わないシーンはまずあり得ません。時計を外さないで水を使える事は見た目にもスマートかつストレスフリーです。

服装もカジュアルからフォーマル迄、幅広く対応できミッドタウンでもダイバースウォッチリュックスーツ姿で通勤することへの抵抗感は間違いなく減っています。

ラグスポが人気となった背景は?

とは言え、1970年代は異端児扱いされていたラグスポが、なぜこれほどまで世界の時計界で一大トレンドとなったのか?気になるところです。ネット上での意見は様々ですが、専門誌「WEBクロノス」の記事が詳しく解説してくれています。

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/45055/

僕の考えでは服装の「ノーネクタイ化」が大きな理由です。もともと海外ではスーツを日常的に着用するのは「金融マン」に限定されていました。それ以外の職種で、ネクタイを締めるのは取締役幹部社員と言われる人達でした。

しかし、数少ないスーツ族も近年は「ノーネクタイ化」がかつてより進行しています。スーツ族が多い日本でも「クールビズ」がスタンダード化しています。

つまり世界中の多くの人達は冠婚葬祭を除き、スーツを日常的に着用しません。そのためカチッとしたドレスウォッチより、ラグスポのように適度なスポーティーさを持った時計の方が使い勝手が良いのです。特に高温多湿なアジア圏ではスポーティーウォッチの方が明らかに使い勝手が増します。

さらに高級時計の巨大市場である中国人の嗜好とマッチしたと前述の「WEBクロノス」は書いています。市場も熟成して彼らはスポーツウォッチに目を向け始めた。高温多湿な気候と適度な高級感のあるラグスポはうってつけの時計だったのです。

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/1842332/

個人的にラグスポ人気が高いと感じる国・地域はシンガポールドバイだと思います。これらの国々も年中高温です。その国々の愛好家たちは元々時計偏差値(遍歴)が高く、彼らは色々な時計を試した後にラグスポへ辿り着いたのでしょう。

洗練されたデザインゆえに難しいコーディネート

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/6765061/

次にダイバーズウォッチから始める理由として、ラグスポは決して手軽に使えるデザインではありません。

これだけ多くの(特にジュエリー)ブランドが参入すれば、ラグスポのデザインはより一層洗練されたモデルがこれからも増えてくるでしょう。ただ、その優れたデザインは腕時計ビギナーにとっては逆に障害になると思います。

最近殆どのブランドのラグスポは多角形のケース形状や装飾に拘り、カジュアルウェアとは相性は良くありません。ブランドによっては服(場合によっては人も)を限定する腕時計ゆえ、コーディネートが難しいのです。

またプレステージを好む国(中国、華僑が強いSIG、UAE)では歓迎されても、茶道の「わびさび」文化が未だに残り「華美な物を嫌う日本」ではダイバーズに留めた方が無難?というのが僕の考えです。

ダイバーズは今こそチャンス!国際規格があり安心

幸いなことにラグスポ人気で、ダイバーズウォッチはロレックスを除けば「熱が冷めた」状態が続いています。そのロレックスでも一時期よりは明らかに人気はクールダウンしたと言えるでしょう。

ダイバーズウォッチは国際工業規格で定義がハッキリしている点で好感を持てます。これは裏を返せばメーカーによる当たりはずれが少ない時計なのです。下の表を参考にしてください。

耐磁の 種類JIS保証水準          内容
非耐磁 時計1,600A/m1990年までの輸出検査で行われていた基準値。耐磁時計以外でも基本的に満たされるレベル。
第1種 耐磁時計4,800A/m磁気に5㎝まで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル。
第2種 耐磁時計16,000A/m磁気に1㎝まで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル。

日本時計協会、防水時計の欄より

そして防水機能以外では高い耐磁機能も兼ね備えています。これは潜水作業で、使う時計は耐磁機能も必要ということで定義されているのです。そのため、ダイバースを付けたままパソコン使っても精度には影響はでません。

ダイバーズウォッチの選び方は?

ダイバーズウォッチは前述したように基本スペックは国際規格があり、どのブランドを購入しても機能面での心配は要りません。ただラグスポと比較するとケースに厚みが増します。

過去記事を参考にしてください。

そのため選ぶポイントはケースの厚みを注目してください。僕はケースの厚みが時計の着け心地を大きく左右すると考えます。個人差はありますが、僕は130㎜を超えない時計をいつも選んでいます。かつてあるブランドの600m防水のダイバーズウォッチを試着した時、160㎜の厚みにはかなりの違和感を感じました

他にはブレスレットとのバランスも、選ぶ時にはチェックした方が良いですね。重量が重い腕時計もバランスが良いと重く感じません。良質な時計ブランドはこのあたりにも注意を払って時計を仕上げています。

できればこれは店頭で試着して、確かめたいですね。

まとめ

入手するハードルの高いラグスポは、もちろん良い腕時計ですが、むしろ時計遍歴を重ねてから手に入れた方がより良さが実感できます。まず、ダイバーズウォッチからスタートし、腕時計の経験や知識を向上させた後にラグスポを目指してください。